ラストフロンティア・ヘリスキー 参加者の声

Tour Date: 2007年 Week-05 / 1月26日 - 2月2日

ごく普通のサラリーマンで中級スキーヤーを自称する埼玉県在住の濱元さん。 ヘリスキーへの参加はこれが初めて。 「技術的についていけるかかなり不安で・・・」と、ロッジ到着後も心配されていました。 その不安が半分的中するかのように、この時期にはめずらしく晴天に恵まれた毎日。 降雪がない分チャレンジングな雪も多く、技術&体力的には決してやさしいとはいえない条件の1週間でした。 そんなタフな条件を滑りきり、奇跡の画像(本文を参照)を手に入れた濱元さんからお寄せいただいた体験記です。

はじめに&準備・検討

私は雪山依存症暦7年、かねてよりヘリスキーは雑誌等を通して知っており『究極』としていつかはと思っていましたが、思い立ったら気軽に行ける訳ではないのがヘリスキー。 大多数の方と同じく以下のような心配・関門がありました。(1)予算 (2)休暇 (3)足前です。 なお、言葉に関しては英語が堪能な訳でもなく、根拠はまるで無いのですが、「何とかなるだろ」ぐらいにしか考えていませんでした。

(1)予算
料金を初めて日本円に換算して確認したときは一瞬意識が遠のきました。 これは10年間働いた自分へのご褒美として、預金の残高はしばらく見ないことで解決(逃避)。

(2)休暇
これは数年前に会社で出来た、「10年勤続休暇」をリフレッシュ休暇(いわゆる夏期休暇)と連続して取得するという荒業で解決。 上司は頭を悩ませたに違いありませんが、「ダメといったらコイツ辞めるとか言い出しそうだな」という恐怖が頭をよぎったのではないかと・・・。

(3)足前
自称、「中級者」。 深雪は大好物ですが、バックカントリーの経験はありません(せいぜいニセコのコース外程度)。クラスト斜面は経験が無いので、滑れるのかどうかさえ分かりません。 ただ、ファットスキーなら何とかなるかなという期待と、次の機会は10年後なのでこのチャンスに賭けることにしました。

そして9月の説明会に参加した時点でほぼ参加する決心がつき、その後何回か質問のメールをやり取りさせていただいた後、正式に申し込みをさせていただきました。

 

いよいよ本番

【出会い】
バンクーバーからの飛行機で、「アジア系っぽい人が他にもいるなー」とは思っていたのですが、ロッジに着いて自己紹介したらなんとあのモーグルワールドカップ優勝の坂本豪太さんとカメラマンの千安英彦さんのお二人でした。(それまで気がつかないというのもかなり失礼な話です・・・) そして、なんとお二人の撮影と同じグループに入れていただけることに。

【天候・コンディション】

こんなところで言い難い事をはっきり書いてしまうと、「ちょっと・・・雪重い・・・?」が最初の一本目の正直な感想でした。 ただ、私の参加した週(2007/1/26 - 2/22)は少々特殊なコンディションでした。 LFHのページには以下のように記載されています。

Total snowfall: no new snow
Snow condition in the alpine: mostly fair with some good days
Snow condition in the trees: good

要は、雪がまったく降らず雲ひとつ無い快晴、もしくは、うす曇という天候でした。

滑ってみての感想は後述しますが、おおむね以下のようなコンディションでした。

(1)滑り出しのピーク付近は、ウインドクラストでカリカリ。
(2)少し降りるとパウダーゾーン。
ここはランによって毎回異なり、軽くサンクラストしている斜面から、雪が降ってないのが信じられないような、「○□♪※ー¥△@!!!!!!!!(言語化不能)」と叫んでしまうパウダーまで、バラエティー豊かでした。中でも最終日午前中に滑ったコースは開けた中斜面に延々とパウダーが続き、もう最高でした。脳内麻薬分泌量が生涯最高をマークしたのはこのランです。
(3)ピックアップ直前の標高の低いところまで来ると再びカリカリ。

雪が降らない代わりに日程の大部分を占めた快晴の日は、「気持ちいいーーー!!」の一言につきました。 言葉にしてしまうと言ってしまうと、「青い空、白い雪!」という世間一般的なヘリスキーのイメージですが、現実はそれ以上の圧倒的な美しさです。

風もなく無音の世界、空の青と雪の白さ、高緯度ゆえに高く上らない太陽が作り出す光と影・・・、たまりません。 また、360度見渡す限り地平線まで山が連なる光景は圧倒的です。高度感では日本の標高の高いスキー場も負けていないとは思いますが、どっちを向いても見渡す限りの山!という迫力は相当なものでした。 なにより、そんな山の上で食べるランチの気持ちよさといったら・・・。 これは正直特に期待していたわけではないので嬉しい驚きでした。

【スキー!】

柳沢さんは最初、「コ、コイツは・・・(汗)」と思ったに違いありません。 正直、レベル的には必要な水準を充足していませんでした。 1 - 2本目のオープンバーンはそれなりに滑れましたが、クラスト斜面・ツリーランで遅れてしまいます。 経験がないので若干心配してはいましたが、最初は要領がつかめず苦労しました。 また、かなりの距離を一気に滑るので(変に力が入っているのもあり)最初は汗だくになりました。

一方、大阪から参加のOさんは初めからスイスイ滑っていました。ある日など持参したノーマルのカービングスキーで滑る余裕すらある凄さ。感服しました。

テンション的には、
(1)滑り出しのピーク付近は・・・「ゴリゴリだー」
(2)少し降りるとパウダーゾーン・・・「うひょー!!!!」 
この部分だけで大き目のスキー場のトップからボトムぐらいの標高差があります。 
(3)ピックアップ直前が急斜面の密度の高い森だったりすると・・・「助けてーー!」という感じです。

そんなこんなでかなり皆さんのお手を煩わせましたが、本人は本人なりに未知の体験を楽しんでいました。 また段々慣れていった結果、日程の後半帰る寸前になってからではありますがコツをつかんで長い距離もスムーズに滑れるようになりました。 最初は早すぎると感じたピックアップのサイクル(ピックアップポイントに先にヘリがいたり、いなくても着いた - ,2分後にはヘリが飛んできます)にもついて行ける様になり、日本の感覚で言うと「が、崖?」という斜面も何とか降りれるように。あー、もう少し日程があれば・・・。

【コミュニケーション】

言葉面では特に挫折することはありませんでした。 1対1で話すときはスタッフ・ゲストともゆっくり簡単な英語で話してくれるので大体分かりました。 話す方もかなり適当な英語で奮闘。 うまく表現できなくても頑張っている間に、「こういうことが言いたいのか?」と察してもらえたりするので「そうそう!」とか。 ただ、全体向けにスラスラーっと話されてしまうとついて行けないことも多かったのですが、そこは(コイツ分かってねえな・・・)と気配を察した柳沢さんの絶妙フォローにおんぶにだっこ状態でした。

なお、この週の日本人のファーストネームは、Takehiro、Takehiko、Hidehiko、Mituhikoと、もう海外の方にとっては嫌がらせか?という100%判別不能なラインナップ。 基本的に「Hama」と呼んでもらっていたのですが、終盤にはしっかりファーストネームで判別してくれるスタッフも出てきて感激しました。

また、スタッフに限らず海外のゲストはとても自然に親切にしてくれます。 遅れ気味になっていると適当な位置で止まって「こっちこっちー」と呼んでくれたりと。 実は期間中に変な転び方をして足首を痛めてしまったのですが、スタッフ・他のゲストの皆さんが顔を見るたびに、「足はどうだ?今日はちゃんと滑れたか?」と聞いてくれてとてもよくしていただきました。

【ロッジライフ】

最終日の前日の晩、夕食後に他のゲストも集まって千安さんの撮影したビデオ上映会となりました。 みんな、自分の映ったシーンを歓声を上げて見ています。 そして、ここでの私のポジションはズバリ、『お笑いシーン担当』。 何しろ断トツの頻度ですっ転んでいます。 転ぶたびにみんなから爆笑が起こります。 千安さんの素材を壊しまくって申し訳ない気持ちで一杯の反面、海外ゲストのウケを取ったのでまあよしです。(よくないか・・・。千安さんホントすいませんでした。)

そして、タケさんの撮影のオマケで時々写真を撮っていただいていたのですが、その中におよそ私とは思えないカッコいい一枚が!。 みんなに「はまちゃん、『奇跡の一枚』だよ!」と冷やかされましたが、本当にいい写真です。 今、大きく引き伸ばして部屋の壁に貼ってあります。 一生の宝物ができました。まあ、『奇跡』と言われる理由にはその写真の一瞬後には思いっきりコケているという事実もあるのですが・・・(笑)。

- 特別付録 -
奇跡の一枚が生まれた瞬間

 

最後に

参加する前からある程度は予想していたことではありますが、今回の旅はスキー観を根底から変えてしまう体験でした。 正直、次のシーズン日本のスキー場で満足できるのかなあ・・・、と贅沢な悩みを抱えています。

とは言っても、毎シーズン参加した日には、預金が底をつき、職を失い、一文無しにまっしぐらです。 足前も足りてないことですし、ちゃんと海外のトップチームのゲストのペースに着いて行ける様になるようレベルアップに励みながらまた10年コツコツ働きます。

ということで、

10年後またお世話になりたいと思います。よろしくお願いしますね、柳沢さん。

 

濱元さんプロフィール
  • スキー歴:7年(社会人になってから) 
  • 職業:会社員
  • 年齢:32歳 
  • 平均年間滑走日数:15日前後 
  • 好きなスキー場:志賀高原、安比、ニセコ、ルスツ。